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屠蘇(とそ)

2001年1月


新年おめでとうございます。

新春を迎え、それぞれのお宅でも神棚に捧げた日本酒を下げて、一家で盃を乾して新しい年を祝うことでしょう。今年も宜しくお願い申し上げます。

さてお酒は何を召し上がりましたか。惣論「日本酒」だった事でしょう。地方に依っては新年の酒として、日本酒から作ったリキュールを呑む習慣の場所があります。そのリキュールとはお屠蘇です。

中部地方より西の地方に多いようですが、近頃、東京方面にもそんな風習が広がって参りました。そこで今回は日本酒の一種としてのリキュールのお屠蘇について書いて見る事にします。

お屠蘇は、元旦に呑むと一年の邪気(じゃき)を避けるといわれる飲み物です。

昔、中国の三国時代(西暦200年頃)、魏の国に辛陀(かだ)という外科の名医が居て、屠蘇散を初めて作り、曹武帝に献上したことから始まったと云われています。

わが国では嵯峨(さが)天皇の時代(西暦810年〜824年)の元旦に宮中の儀式として用いたのに始まり、次第に一般に普及して、新年の始まりの習慣として定着するようになった。

「屠」は「殺す」という意味、「蘇」は鬼の名前で、病を起こす鬼の総称であって、細菌を殺す、つまり伝染病の予防の意味で作られたと解せられる。

屠蘇の処方は種々あり、古文書に依り、それぞれに異なった記載が見られる。

今日のわが国で用いられるものとしては、白尢(はくぼう)、山椒(さんしょう)、桂枝(けいし)、防風(ぼうふう)。桔梗(ききょう)等をそれぞれ同量に配合して細かく刻んで白い絹の袋に入れ、大晦日の日中から「みりん」の中に浸しておくと、元旦には特有の芳香を放ち、婦女子にも飲める飲料となる。といわれている。

昔から「お屠蘇」は幼少のものが先ず一番に飲む事になっている。その云われは中国の古書の「礼記」に依るもので、それには親が病気になった時には、先ず、子供達が薬をなめる、すなわちお毒見をすると書かれている。

屠蘇散を構成している漢方薬を調べて見ると、「白尢」は健胃利尿作用があり、「山椒・桂枝」は血行を良くし、寒気に対する抵抗力を強め、「防風」は風邪薬であり、桔梗は気管支の薬である。全体として胃腸の強壮と風邪の予防の総合役の意味を持つと解釈できるのである。

元旦に屠蘇を飲む意味をちょっと調べてご披露したが、こういう話も面白いであろう。漢方を日本酒と結合させた飲み物を作り、新春に一年の健康を願った故人の知恵に敬意を払いたい。

本年も一年を無事息災に過ごされ、その間に適度に御園竹を愛飲されることを願います。

 

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