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日本酒と料理(2)

2000年6月


ちょうど一年前の便りと同じ題目で、今月は常務が書きます。

日本酒業界で「日本酒と料理の相性」ということを言い出してから十年ほど経った。最近、果たして、この働きかけは成功したのだろうか、と考えることが良くある。この話はもともとは、ワインのソムリエの人達が日本酒をもっと盛り上げ様と考えたのが始まりである。

確かに、日本酒にも色々なタイプがあり、それぞれに相性の良い料理があるのは事実である。しかし、実際に色々な組み合わせを試してみる、というのは家庭では難しいのではないだろうか。どちらかといえば外食をすることを前提としていた。様に思える。

ちょうど時期も悪かった。バブルが崩壊し、その後、官官接待問題に始まり、それに不景気が拍車をかけた接待・宴会の自粛の動き。これによりかなりの人が家の外でお酒を呑む機会が減った。そのために、日本酒と料理の相性を試すことがなかなか定着できなかったのではないか、という気がしている。

しかし、今後は今までとは違った形の日本酒と料理の相性の楽しみ方が出てくるのではないか、と考えている。それは、「家庭料理に合わせて日本酒を楽しむ」ことである。

外でお酒を呑む機会が減るということは家でお酒を呑む機会が増える、ということである。しかし、お酒を呑む人だけのために「つまみ」を別に作る余裕はない。そうなると「おかず」を肴にお酒を呑む、というスタイルが一般的になるのであろう。

今までもそうだった、かもしれない。しかし十年前と確実に違うのは、お酒をたしなむ女性が非常に増えたことである。主に料理の作り手である女性がお酒を呑むと言うことは、酒呑みにとってはとても嬉しいことである。同じ料理でも、味付けや材料の選択で、お酒に合う肴に変わってしまうからである。

料理研究家でも、時代に合わせて家庭料理を少しずつアレンジして発表している人達がいる。我が家では、山本麗子、栗原はるみ、飛石なぎさ、といった人たちの本を参考にすることが多いが、不思議なもので、こういう人たちの料理は、ご飯と一緒に食べてもおいしいし、酒の肴にしてもおいしいものが多い。

こういったことから、私は「家庭料理に合わせて日本酒を楽しむ」時代になった、と考えている。

ハンバーグを肴に酒を呑む。そのときソースの代りににおろし醤油はどうだろうかとか、ケチャップと日本酒が結構合う、とかやってみると結構楽しい。また普段の御園竹のほかに、違うお酒(純米酒や吟醸酒、ワインや焼酎など)を一本用意しておいて、味の違いを楽しむこともできるのではないだろうか。

夫婦そろって、家族そろって、家庭でお酒を本当に楽しむことが本当の豊かさの象徴となる、そんな時代がくれば良いと思っている。

今後しばらくの我が社の新商品のテーマは「家庭料理に合うお酒」である。第一弾として「純米麗酒 つゆ草」を六月上旬に発売する。これは子供のいる家庭の料理で一番多いと思われる焼肉、ハンバーグ、餃子、うなぎなど、ちょっとしつこい感じのする料理に合う、軽いさっぱりとしたお酒です。「牧水生酒」ともども、冷やして呑む酒としてご愛飲くださるようお願い致します。

 

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