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閑話休題

1996年5月


今月は社長に代わって常務が便りを担当します。社長の様に、昔のことを交えながら話をすることができませんので、いつもの便りとはちょっと趣を変えて、多少内輪話的になりますが、なぜこの便りを始めたか、についてお話しをしようと思います。

皆様ご承知の通り、私が武重本家酒造に入ってからまだ数年しかたっておりません。入った当時に感じたことは、昔の酒造りに関する資料がほとんどないことです。例えば設備にしても、米を蒸すための昔ながらの甑(こしき) は連続蒸米機になっており、残っていません。写真すらありません。当社でも残っている道具類を極力保存し、展示するように心がけてはいますが、失われてしまったものはもう取り戻すことはできません。

失われつつあるのは、道具といった有形のものばかりでなく、無形物、技術もそうです。これは、道具より更に保存が難しいものです。当社では昔ながらの「生もと造り」の技術を保存し、いまでも酒造りの中に活かしています。しかし、近代化の名のもとに失われてしまった技術も当然あります。

これ以外にも、当社には昔を偲ばせる様々なものが残っています。ほんの一例ですが、当社の通路の柱には、「馬つなぐべからず」という札がかかっています。「馬つなぐべからず」と書いてあるからには、馬をつないだ人がいたわけです。私はこれが不思議で、当時存命の祖母(先代社長夫人)に聞いたところ、酒販店さんが馬で荷車を引いてお酒を仕入れに来た頃の話を話してくれました。

この様な(私にとって)面白い話は、社長、支配人、社員に聞くといろいろでて来ます。ビールがまだ木箱だった時の話とか、お酒の配達に藁つとでビンを包み欠けるのを防いでいた酒販店の話とか、昔を知らない者にとっては、どれもこれもが面白い話です。

しかし、この様な話も知っている人がいなくなったら、どこかへ行ってしまいます。単なる感傷かもしれませんが、こういった、様々な事柄の記録をなんとか残したいという気持ちが私の心の中にはあります。そこで社長と話をして、こういった昔の話を文字で残したい。といっても昔話だけではしょうがないので、昔の話と今の話を結びつけて多少なりとも酒販店の皆様に役立つものを作ろう、と決め、「御園竹便り」という形で毎月少しずつ記録に残すことにしました。

便りを始めてもうすぐ二年になります。また来月からは社長がいろいろな話を取り上げていく予定です。便りで取り上げて欲しい題材、記録に残しておきたい話などございましたら、ご一報ください。

インターネットもこの「御園竹便り」の延長として始めました。分量の関係で便りに書けないこと、またいろいろな写真なども数多く入っています。興味がございましたら、お気軽に常務までご連絡ください。パソコン持参で上映におうかがいがてら、皆様がご存じの昔の話を聞かせていただけるのを楽しみにしています。

完売御礼

限定発売の「御園竹大吟醸無濾過生酒」は予定数量に達し販売を終了いたしました。評判が良いようであれば来年も発売したいと考えています。商品に対するご意見ご要望がございましたらお聞かせください。また、消費者の皆様からのご感想がありましたらぜひお聞かせください。

 

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