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カタログ1996#01
カタログ1996#02

人々の日々の暮しの中で、年中行事に、そして人生の節目節目に飲まれる、生活に密着した酒。郷土の思い出の中に必ず浮かぶ酒。そんな「本当の地酒」を提供し続けたい。

■概要

「御園竹(みそのたけ)」の醸し出される信州の望月の郷は、古く万葉の昔より和歌にも詠み込まれ、中仙道に面して栄えた歴史ある宿場街です。

立科山の山麓に位置するこの地は、清冽な気候に加えて豊かな粘土質の土壌をもち、往時より東日本有数の良質米を産する穀倉地帯として名高く、最近まで米作り日本一の農家を輩出した地です。また、この地に湧き出る水はその源を遠く蓼科山の頂に近く湧き出る、いわゆる「御泉水」に発しており、類まれなき名水とうたわれております。

幕末のころ、皇女「和宮」さまはこの地を江戸に向下され、当家もその御一行の御宿の一つに選ばれました。今でも当時をしのぶ門前に下げられた「酒林」を見に訪れ、酒を賞でて帰られる方も多くおられます。

当家正面には、酒仙の歌人としてその名も高い若山牧水によるこの地で作り、また御園竹を詠み込んだ、有名な和歌を刻み込んだ石碑があり、訪れる人々の心をつかんでおります。

「御園竹」、「牧水」はこのような環境の下、蓼科山の伏流水を汲み上げて仕込み水とし、この地に産する酒造好適米「美山錦」を磨き上げ精白した自信の清酒です。

■御園竹の命名の由来

「御園」は皇室を指すめでたい名前であり、それに当家の家紋の竹をよみこみ「御園竹(みそのたけ)」と命名した開業以来の商標です。「竹の園生」が東宮を指すことでもあり、その名に負けない酒をと、代々の主人と杜氏が努力してまいりました。

杜氏は新潟杜氏で、代々世襲にて入蔵し、現在の杜氏で六代目となります。代々の杜氏は地元でも名杜氏の名前も高く、生地にはそのうち二人の石碑が門弟により建立されています。

■牧水の命名の由来

「牧水(ぼくすい)」は昭和50年代にできた比較的新しい商標で、若山牧水を顕彰し、命名しました。また、当社のある地域(旧本牧村)の水、すなわち「牧(まき)の水」から造られた酒、という意味も込めてあります。 この二つの意味が込められた「牧水」は、山麓の澄んだ水を使い、若山牧水の時代から変わることない、伝統の造り方によってできあがった清酒です。若山牧水は、様々な地を旅して歩いた歌人ですから、きっと皆様の街の近くを通っていることでしょう。牧水を一献傾けながら、若山牧水が愛した酒、そして若山牧水が旅をしていた時代に思いを馳せていただきたいという思いをこの名前に込めています。

■特徴

当社の特徴は創業以来一年も休むことなく造り続けてきた「きもと造り」です。きもと造りは昔ながらの製法で、時間をかけてじっくりと仕込む方法です。「きもと造り」によって造られた酒は、いくら呑んでも飽きが来ない、いわゆる「腰の強い酒」です。

普通酒「御園竹」には、この酒が約三割混和され、御園竹の味、地元消費者の好む味を作り上げています。

また、技術の保存という点では、生もと造りに欠かすことのできない木製の半切桶や暖気樽を絶やさぬよう、桶や樽の材料となる木材を社長自ら買いつけ、何年も枯らしておき、造りの季節には桶職人を常駐させて、修理、作製を行っています。